1873年の創業から150年以上の歴史を有し、日本を代表する大手総合建設会社の1つである大成建設。2030年に向けたグループの指針を示す「TAISEI VISION 2030」が策定され、DXやM&A、新規事業創出といった新たなビジネスモデルの推進を目指しています。今回は新事業企画部事業企画室の坂元 徹太郎様、小西 悠太様、藤井 愛子様にお話しを伺いました。
坂元様:
私たち新事業企画部 事業企画室は約5年前に発足した組織で、これまでは成熟企業のM&Aを中心に取り組んできました。
その活動で培ったノウハウを活かし、現在はスタートアップも対象として、双方の企業価値向上に向けた提携を目指して活動しています。
このミッションは、私たちの部署だけでは実現できませんので、当社の各事業部門や技術センターと連携しながら、私たち新事業企画部が探索から提携後のシナジー実現まで一気通貫で舵取りをしています。
坂元様:
建設業界ではプレイヤーが多いことが指摘されている昨今、業界の成長・健全な発展を考えると「業界再編」が今後進むのではないかと、私たちは考えています。
当社にも得意な領域とそうでない領域があります。
そのような中で、まずはM&Aという手段を用いてグループ全体の力を増強し、将来の業界再編に備えようというのがこの取り組みのきっかけです。
建設業界は担い手不足という大きな課題を抱えていまして、この担い手不足がもたらす供給制約により、お客様の課題に応えられない場面が少なからず出てきています。
この課題に対して個社で対応するのは限界があります。
同じ目的の元に共同して取り組むほうが効果的だと考えていて、それを目指すこともM&Aや提携を進める重要な意義となります。
坂元様:
目的としては、長期ビジョンである「TAISEI VISION 2030」の達成です。
具体的な情報は当社Webサイトをご覧ください。
中長期の外部環境・構造変化に対応するべく、IX (インダストリー・トランスフォーメーション)を掲げております。
ここはまさに先ほど申した業界再編の一環であり、M&Aや業務提携といった手段で推進していこうと考えております。
これまでも、高級レジデンスや伝統建築分野に強みを持つ「佐藤秀」や、プレストレストコンクリート分野で高い技術力を持つ「ピーエス・コンストラクション」、日本各地の主要都市に好立地の物件を所持している「平和不動産」とM&Aが成立しました。
このような成熟企業を対象とした実績があるので、これからはこの業界再編をよりスタートアップとの協業によって実現しようと考えております。
業界再編と言っても、様々な方法が存在します。
業界のプレイヤーがM&Aなどで一体化していく再編の進め方もあれば、デジタル化やAI・IoTのような新しい技術を取り込んで、業界の変革を進めていくこともその一つです。
坂元様:
スタートアップには、我々が保持していないような技術やアイディアを持っているという点で非常に期待しております。
私たちが思い至らないようなアイディアを持っている企業も多いため、そうした考えを取り入れさせて頂き、当社のノウハウや技術を提供しながら、共に発展していける可能性が非常にあると考えています。
坂元様:
外から見たときに「この部分はこうすればもっと効率が上がるのではないか」といった率直な発想ですね。
私たちはこの業界内でしか仕事をしてきていないので、どうしても経験則に偏りがちになってしまうんですよね。
そうではなく、業界を外からフラットに見て新たな発想ができる方と融合することで、業界全体のゲームチェンジに繋がるのではないかと期待しています。
坂元様:
これまで建設や不動産開発に長く携わる中で培ってきた顧客ネットワークや技術力といった部分は強みだと捉えています。
当社はスーパーゼネコンと呼ばれる大手5社の1つに数えられており、これまで社会インフラ整備において、非常に高度な技術力を必要とする分野で実績を積み重ねてきました。
こうした技術に対応するために、日々建設を通じてどのようなニーズに応えることができるのかを探求してきました。
また、公共機関に対するノウハウやネットワークは、他社と比較しても歴史的に深い繋がりがあるため、強みの1つだと考えています。
当社には多岐に渡る専門分野のエキスパートが所属していますので、スタートアップの関心がある分野の、エキスパートをご紹介できます。
実際に提携関係が実現できた後、スタートアップが「こういうものが知りたい、こういうものが欲しい」というものは、すべからくご提供させて頂こうと思っています。
坂元様:
先ほど申し上げた長期ビジョンに掲げているような成長戦略を達成するため、その目的に合致する協業候補先を探索する際に、STARTUP DBを利用しています。
導入前には様々なデータベースサービスを比較しましたが、探索だけではなく、スタートアップとの接点創出までサポート頂ける点が決め手になり、STARTUP DBを導入することを意思決定しました。
坂元様:
当社の技術センターでは、特定の技術をベースにした協業検討を、スタートアップに打診しています。
一方で、私たちのようにアイディアベースで探索していくことになると、今まで接点がないスタートアップが候補に上がりやすい傾向もあります。
そのため、当社よりも接点を持っているSTARTUP DBからアプローチ頂く方が、面談を通じて協業の可能性を検討しやすく、ソーシング活動の効率化も図れると考えております。
坂元様:
協業候補となるスタートアップのホームページ上では分からない情報を見ています。
例えば「評価額/資金調達履歴/従業員数推移」などは協業先の選定方法として、貴重な情報として常に拝見しております。
小西様:
資金調達の履歴はスタートアップとの接点作りに活かしています。
「競合がどのようなスタートアップに出資しているのか」や「私たちと接点がある企業がどこに出資しているか」といった情報を元にスタートアップとの接点をどの経路で作るかを参照しています。
坂元様:
STARTUP DBがなければ、紹介やイベントといった限られた手段でしか候補企業を探索できません。
そうなると、本当に組むべきスタートアップと接点を持てないことによる機会損失が発生すると思います。
また、スタートアップのリストアップも不可欠なサービスです。
御社の営業担当の方が、当社に合うスタートアップをリストアップしてくれるので、私たちが想定していなかったような候補先を見つけることができます。
社内で重要な意思決定をする際にも「偶然の出会いではなく、様々な角度から調査を重ねて選定した1社です」という調査過程の説明もできるので、非常に説得力が増します。
もしそれができなくなると、説明コストが増え、意思決定に時間がかかるのでリスクだと思います。
坂元様:
繰り返しになりますが、建設業界は担い手不足による供給制約が業界として喫緊の課題になっております。
今後、社会のニーズやお客様のニーズに応えていくためには、業界の変革が絶対に必要だと考えています。
そのため、当社は、保持しているバリューチェーンにおけるネットワークや技術・ノウハウなどをスタートアップに提供して活用頂けるよう、体制を整えております。
私たちも建設業の従来の枠組みから踏み出して、課題解決に資するような挑戦をしていきたいと考えておりますので、ぜひ一緒に取り組んで頂けると大変ありがたいです。
取材・執筆:久保田 裕也( for Startups, Inc. )
写真:佐々木 航平 ( for Startups, Inc. )
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